小説「月山」で芥川賞を受賞した作家の森敦氏が実家を訪れてくださったのは、
私がまだ母のお腹にいる頃。
もう40年以上も昔。
その時、森敦先生が書いてくださった一枚の書がこちら。
祖父の突然のお願いにも拘わらず快諾された森敦先生。
慌てたのは家の者の方で、筆も紙も何の準備も無かったものですから、
筆はお鷹ポッポの絵付けに使う平筆。（筆先が丸くない、平べったい刷毛の様な筆）
紙はなんと障子紙という、ちょっとしたドタバタ劇が繰り広げられたのだとか。
その日を境に我が家の「家宝」となったこの書と共に私は育ちました。
（2022年現在この書は致道博物館に寄贈させていただいております）
幼い頃は「月山」は「がっさん」と読むのか位で、一体何が書いてあるのかさえさっぱり分かりませんでしたが、
何となくこの月山という山は厳しい山で、それでいて人を惹きつける、そんな特別な山なんだろうな、
という事は感じていました。
「月山」「羽黒山」そして「湯殿山」この三つの山は、尾根が繋がっており、総じて出羽三山と呼ばれ山形を代表する霊山です。山岳信仰のお山でもあり、修験道の道場とされ、全国から修験者が訪れます。
特に月山と湯殿山は冬場は雪に閉ざされ山頂に行くことが叶いませんので、
僅かに道が開けたこの時期をめがけお山に参るのです。
地元では、
月山は過去、
羽黒山が現在、
湯殿山が未来とされ、
この三つのお山に参ることで
生きながらにして生まれ変わる事ができるとも云われています。
淡々と足を進めるしかない険しいお山の道は
頂きが近づくにつれ畏怖としか表現できない世界が眼下に広がります。
40年以上もかけてようやく月山に辿り着いたその瞬間は、
とても懐かしい場所に帰ってきたかのような、
妙にやすらぎを感じさせる空気が漂っていました。
そうは言っても標高2000m近くある山の頂は、ゴツゴツした岩と、
一歩間違えば滑落しそうな傾斜と、あちこちに残る雪渓の上を雲が滑り抜ける
決してやすらげるような雰囲気ではありません。
ですが何故かその場にずっと居たい…そう思わせる何かがあるのです。
足腰を弱らせることなく、
また来たい！そう思いました。
月山9合目の仏生池小屋に一泊し（素敵なご夫婦が切り盛りされていらっしゃいます）
翌日下山するとすぐに、
月山に登りたいので、CS60でケアして欲しいと年配の方より依頼がありました。
何とも粋な計らいがこんなにもすぐに訪れるとは、恐るべし月山。
そして何より嬉しかったのは、
月山で流れ星が見れた事。
幸運に、そして祈れる自分でいられたことに心から感謝の夜でした。
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日本海に沈む夕陽が山頂から見える！ ![]()
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生まれ変わりを果たした新たな自分と共に
今年の後半は更にしっかりと地に足をつけて精進していきたいと思います。
地球と共に、
これからも生きる為に、
今やれる事を丁寧に。
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